エメラルドグリーンの肌

ハロプロとか芝居とか漫画とかが好き。小説が書きたい。

NU版TRUMPキャスト別感想 武田クラウス&アレン後編(2015年観劇当時)

今回は〈truthアレン〉
今回特にすっごい私の独自解釈です。でも私はそう感じたんです。あくまで個人の意見であることをご理解ください。

・私は合計2回見た武田アレンだよ。
この方のアレンはキャストパレードのクラウスとのパートが全てを物語っているけれど。
陳内クラウスを振り回して床に這いつくばらせたあとのあの、笑顔…このガキは魔性だ、悪気なく人を振り回して心を奪ってめちゃくちゃにして、そんでボロ雑巾みたいに捨てるんだ。
こんな子どもを好きになってしまったクラウスが悪いよ、としか言えないくらい美しいけどタチが悪い。
・武田アレンの興味深いところは、ここまで人を惑わせる魔性でありながら、神秘性は皆無な「ただの繭期の少年」であるところ。
この魔性も一時的なもので、クランを卒業したら拍子抜けするくらいに普通の大人になってしまいそう。メリーベルのことすら「昔の話」で済ませてしまいそうな…一時的な美しさ。
神秘性っつーかクラウスを差し置いて真の神様はこいつなんじゃね?って思わせる凄みがあったのは、やっぱり赤星アレンでしょう。映像鑑賞のみの私でさえ感じ取れる、ヴァンプどころじゃないもっと高尚な何者かってオーラが凄まじい。赤星アレンは子どもの姿のまま永遠を生きていそうな生き物だった。
・何かと純真無垢の象徴みたいにファンに扱われている2015年版アレンですが、陳内アレンはともかく武田アレンは純真無垢じゃねぇだろ、と。本人に邪気や悪意はないんだけども、人を破滅させる典型的な存在だろう。
なんでかっつーと、責任感というものがない。彼は何にも背負えんよ、陳内アレンは責任能力がそもそも無いんだと思うけど、武田アレンは「こんな事になるとは思わなかった」っていう浅はかさがある。
・よく今回のアレンの少年キャラっぷりをうけて、メリーベルは子どもに手を出した悪女だっていう説が出回ってたけど(現に私の席の後ろの女性たちは休憩中「メリーベルがアレンを騙したんだ!」と騒いでて鬱陶しかった)
本当に悪女だったら、こんな繭期(しかも重症)のヴァンプのガキ孕ってもなんのメリットもないってわかるだろ、としか思えない。利用価値の無い野郎のガキ孕ってどーすんだよ、と。
私の見解はこうです。
リーベルもアレン並みに頭ん中お花畑のアホの子だった説。じゃないとこんな繭期で不安定な少年になんて惚れないよ。
2人なーんも考えずに肉体関係を持って子どもを授かってその事の重大さもわからずに呑気に喜んどるのだ。子どもが子どもを作ってしまっただけ。

ま、ここまできたらわかると思うけど、私は今回のアレンが好きである反面、すごく無責任で迷惑なガキだとも思っているのです。
PEACEPIT版赤星アレンは少年っぽかったのに中の人が中年男性だからかちゃんと甲斐性があったんだけど、今回のアレンは育てられそうにないというか。
陳内アレンは大人になれないから子どもに対応できない。
そんで武田アレンは、メリーベルからも子どもからも多分逃げ出すと思う。大人にならなあかん局面から逃げる。

武田アレンは無責任な子どもだと断言出来る。

・森の中でダンスを踊った時も、武田アレンの目にはクラウスは映っていないのです。
武田アレンの目には徹底してメリーベル以外のものごとが映っていない。
そしてそのメリーベルもいつの日かその瞳に映らなくなる日がくる。
一つのものしか見えなくなるくせにうつろいやすい。子ども特有の怖さ。子どもの怖さを凝縮したみたいな武田アレン。
・不老不死のTRUMPであることを告白したクラウスに対しての、瀕死のアレンからの決定的な言葉。
「じゃあクラウスは、ひとりぼっちだったんだね…」
これ、赤星アレンは山浦クラウスを心から哀れむ博愛の言葉みたいなとこあって、
陳内アレンは幼いがゆえの素直な気持ちで、
武田アレンは…拒絶だよ、こりゃ。

「ひとりぼっちだったんだね」=「僕にとってあんたは友達でもなんでもない」だよ。優しい声色だけども他人事なんよ。
最期の最期まで武田アレンの目には陳内クラウスは映らなかったんだ。お前はこれからも未来永劫ひとりぼっちだ、そんな宣告みたいに思える。リリウムのリリーみたいだけれど。

このセリフが拒絶に聞こえる日がくるとは思わなかった。かなり私の勝手な脳内解釈なんだけど、その突き放した様にびっくりしたんよな千秋楽。
優しくともなんともないんだもん、本当に武田アレンにとっては陳内クラウスは世話焼き教師以外の何者でもなかったのだ。
・クラウスが瀕死のソフィを噛む直前のアレンの幻影。
「こうすれば、星にだって手が届くよ」
あの武田アレンは…陳内アレンの「武田クラウスの回想シーンです」的な現れ方じゃない。
あれは武田アレンが陳内クラウスを惑わしに来てる。あの武田アレンの言葉が悪魔の囁きのようで、とにかく怖い。
魔性に魅入られて、ソフィがアレンでないことをわかっているのに、取り返しのつかないことをしてしまう陳内クラウスがあまりに哀れ。
武田アレンのとろけるような笑顔は怖い。身の毛もよだつほど怖い。見えない暴力で人をめちゃくちゃにするような子ども。

武田アレンは怖い。

結論:子どもの美しさと残酷さを凝縮したみたいな魔性の少年だった武田アレン。純真無垢なんかじゃねぇよ。怖いよ。