エメラルドグリーンの肌

ハロプロとか芝居とか漫画とかが好き。小説が書きたい。

COCOON感想まとめ


私ね、今ここで懺悔します。
2015年NU版TRUMPの大千秋楽の時のアンケートに「幸せになってほしいとも思うけど、不幸の渦の中でずっともがいていてほしいとも思います。TRUMPシリーズの輪廻がずっと続けばいいのに」って書いたんです。ほんまに。
あれから4年…私の望みは叶い続けている…

 

月の翳り

・みんな大好き繭期オタクおじさんとかあまりにも濃いキャラが印象深いですが、やはり時が経てば経つほどボディーブローのように効いてくる…
今まで「名脇役」でしか無かったラファエロとアンジェリコの生き様を掘り下げる、とにかくえげつない芝居でしたな。

* 14歳ラファエロお兄ちゃんが思ってたよりずっと幼く、デリコ家の重圧、ウルの秘密の死守、色んなものに押しつぶされていたこと(これはNU版で強調されてたね)、
アンジェリコがこのクランに居てくれて良かったと、確かに思っていたのだと言うこと。
予測はできていたけど、等身大の繭期の少年だった事実
TRUMPでのラファエロお兄ちゃんは、あくまでソフィの目から見たお兄ちゃんだったのね。
そっちでは17歳だからというのもあるけど、あんなに幼くて素直な子だったんだな…

* そしてアンジェリコ様よ。あんまりにも可哀想でしょ…こちとらアンジェリコ様自身の知らない出生の秘密まで知っちゃってるし…
アンジェリコ様がなにしたってんだ!TRUMPでは確かに悪いことしてたけど、COCOONではしてないだろ!!
確かにラファエロへ勝手な期待をし過ぎていたけど…しゃーないやろ、あんな環境で育ったら…
でもゲルハルト様のことも知っちゃってんだよ、シリーズ追ってるわしらは…

TRUMPではアンジェリコ様の繭期、めっちゃ深刻に重いのに、COCOONではラファエロの方が深刻で、ラファエロのせいでアンジェリコ様の繭期もどんどん歪んでしまったみたいな…
しかしそんな事ラファエロお兄ちゃんの知ったこっちゃねぇわけで。

私はラファエロとアンジェリコの民ではないので(なにそれ)2人の関係性をあまり深く考えたことなかったんだけど(デリコ家の方が考察してた)
なんかもう、あまりにも…繭期オタクおじさんが薬を盛らなかったら…

誰かまともな大人が、デリコ家の子息、フラ家の子息としてではなく、ラファエロ、アンジェリコとして対等に接してくれていたら…
っていうか父親達が一言「愛している」って言ってくれてたら…
しかし私はダリちゃんもゲルハルト様も深く知ってしまったので、頭ごなしに怒ることは出来ない…!

最後のさ、夕日の中で2人で殴り合いして、ラファエロお兄ちゃんが勝ってその場を去る時に、まさかアンジェリコ様が「嘘だよ、ラファエロ…」って、そんな恥も外聞もなく縋ってくると思わなかったよ…
そんなに、ラファエロのことが大好きだったんだね、孤独な人生の生きるヨスガだったんだね…

この子達は、大人になることなく、あの夕日の向こうにたどり着くことなく、繭期の八方塞がりの絶望に囚われたまま死んでしまったのね…
永遠の繭期であることに快楽を見出すアレな人がいる一方、繭期さえ抜けていれば、幸せになれたかもしれない子達がいるんだよね…

結論 すえみつさんが通常運転でひどい。
俺達の神様は、血が緑色なんだぜ…

* それにしても繭期オタクおじさんティーチャードナテルロ、まさかあんなやべえ奴だとは。ドナテルロの名前出た瞬間「あ!ドナテルロ回顧録の人やーん!」と思ったけど、あの時はあくまで語り部でしかなかったやん。まぁ暴力に憧れてる描写はあったけどさ。
まさかあんなグスタフ強火担やったとは…
いやぁ、キモかったですねぇ。ビジュアルが美しいだけに、本当にキモかったですねぇ。TRUMPシリーズには時々、キョーレツな変態が出てきますな。
いやしかし歴代ぶっちぎりでアレやった。
未成年者に薬もってるとかマジキチ…

TRUMPシリーズでは過去、グランギニョルにおいてポジティブダンピールの李春林というクソやば美味しい人気キャラが爆誕したことはあったが、言うても春林は良い意味でぶっ飛んだ人だった。
それに対して繭月のティーチャードナテルロさんは、ダメな方向にぶっ飛んで人気を博している…

* ディエゴちゃんは可愛かったねぇ。実は卑しい出自なのに、ちゃんと頑張ってクランでは成績優秀だったんだよ。愛されたかったんだねぇ、ダンピールである自分から逃げたかったのに、罪悪感で逃げきれなかったんだねぇ。
そこで罪悪感で怯えてしまうあたり、ディエゴはまともでいい子なんよなぁ…

この子は繭期オタクおじさんに出会わなかったらどーにかなったか、と言うと、まぁそんなことは無く。絶対いつかバレたし、ていうかダンピールだから繭期越えられるかもわからんし。
結局さ、父親のイニシアチブ解けたの、あれはディエゴの意思なのか、ディエゴが死んじゃったからなのか

それとも、ダンピールであるが故に、イニシアチブの効力が弱かった?とか…
うち、最初はそう思っちゃったんよね。だってジョルモロのイニシアチブをアンジェリコ様が奪えたのは、血統云々やなく、純粋なヴァンプやからやし。血統ねぇし(ネタバレ)
ディエゴちゃんよりは確実に高貴な血統ではあるけど…
また新たなイニシアチブへの疑問が生まれたね。

ディエゴちゃん、SPECTERの繭期ちゃん達と違って、握手求める下級貴族の子達と嬉しそうに握手したり、ジュリオちゃんとエミールと楽しそうに遊んだり、その歳の子らしい可愛い子だったんよね。
ディエゴちゃんは生きてるのかな、ヘルクランで…

* うーん、結局私は月の翳りではどの子が好きだったのか。みんな可愛かったけど。
* 元々は、繭期の子達の中ではラファエロお兄ちゃんが好きなんだけど。強くてウルを守ってくれるお兄ちゃんだったから好きになって(初見が鈴ラファでした)でも作品が公開される度にどんどんキャラが膨らんで、
結局、繭期の男の子でしか無かったと暴かれてしまう、なんというか、切なさ…
特級貴族の跡取り息子として必死に背伸びする、ただの少年なのだという事実が、あまりに健気で、苦しい。

でも純粋に、本当に嬉しかったのは、ラファエロお兄ちゃんが、ウルを憎んでいなかった事だ。

ウルを守ってあげたいと、幼い日に小さな命を抱いた時から思っていた、それが真実であること。
そして、ラファエロしか縋るものがないアンジェリコ様を捨ててまで、ウルを選んだこと。
アンジェリコ様はあまりに可哀想だけど、デリコ兄弟が好きな私は、嬉しかったんよね。
ウル自身がお兄ちゃんを見てるか、見てないかは、演じる人によってかなり違うんだけど、
お兄ちゃんへの僻みもありつつ、
無意識のうちにお兄ちゃんに助けを求めて、助けてくれるのは当然と思ってそうな、そういう甘ったれた思考が、私、ウルの大好きなところ。

 

星ひとつ

ウルがソフィを刺そうとする時、今回は確信を持って「TRUMPのイニシアチブではなく、ウルの意思で、そしてダリちゃんのイニシアチブで、ソフィを刺さなかった」と言える、

そんなウルだったので、これだけでも、COCOON星ひとつ見る価値あった。
そして、ソフィにトドメを刺そうと振りかぶるも、どうしてもそれが出来ないウルの頬に触れるソフィを、しっかり見られた。
前は最前の下手よりだったから結構見えづらかったんよね。
今回のソフィウルちゃんは、本当に、本当になぁ…愛おしかったなぁ…

* ウルは本当に可愛かったなぁ…私、NU版見るまでそんなにウルに思い入れなかったんよね、だってLILIUMから入ったから、ついついソフィを追っちゃうんよ。
でも、グランギニョルあたりからかなぁ、あまりにもウルが愛おしい、と思うようになったのは。

10年の時を経てウルの目線から語られたTRUMP。
新規エピソードじゃなかったから最初は正直肩透かし食らったんだけど、今まで積み上げてきたTRUMPシリーズの10年の区切りに相応しい、"はじまりのはなし"へのアンサー。
僕は君になりたいと、上演作の順で一番最初に言ったのは、君だったね…

そんな、はじまりの話でウルを演じた菊池さんも参加して、COCOON星ひとつは無事幕を下ろした。
TRUMPシリーズはずっと、クラウスとソフィの話だと思ってたけど、同時にソフィとウルの話だったんだ。
ソフィはずっとウルを追いかけてる。ウルはソフィの希望であり、そして絶望になった。

ソフィが生きている限り、ソフィの心には永遠にウルがいる。
なんだか綺麗な言い回しだけど、そんな「良い思い出」みたいな話じゃなくて。
もう絶対に手に入らない一番欲しかったもの。
ソフィの心の楔となってウルは存在し続ける、何千年も、何万年も。

繭星のソフィとウルは、ずっと、互いの目に互いを映していた、そういう2人だった。
でも、PEACEPIT版もD2版もNU版もそうだよ。互いの目には互いが映り込んでいる。TRUMPシリーズにおける関係性ってだいたいこれだけど、一番最初はソフィとウルだよ。
クラウスとアレンは、互いを向いてなかったからね。

まさかダリちゃんが、ウルの遺体を目の当たりにしてたとは思わなかったなぁ。
ソフィはずっとウルが燃えないように、抱きしめてたんだね、ああ、もう…
10年目にしてこんな残酷な事実を明かされるとはね。私は5年しか付き合ってないけどさ。
本当、この輪廻の結末は、ソフィとウルが手を取り合う、それだけで良かったんだよ。
10周年の舞台、大千秋楽でソフィとウルがカーテンコールで手を取り合って出てくる、それだけで、それだけで、TRUMPシリーズというお話は、決着を付けられるんだよ。
ずっとずっと、この2人の話なんだよ…

ずっと、クラウスの話なのかと思ってたけど、思えばこの10年語られたのはずっと、ソフィと、ウルのお話だったもんね。
私、やっとわかったよ。

* 木戸さんの萬里は本当に良かったなぁ…
なんというか、正規の意味でのイレギュラーというか、トリックスターというか。素晴らしい異物感。
今まで演じる俳優さんによってとにかくバリエーションがあった萬里というキャラ、その全てを踏襲してた。
トリックスターであり、縁を繋ぐ者。

初めてハッキリとソフィに「死ぬな!生きてくれ!!」と叫んだ萬里。
今までの萬里は叫ぶ間もなく死んでいったけど、繭星の萬里は初めてソフィとの繋がりを克明に描かれていた。
萬里ちゃんて本当に素晴らしいキャラクター造形なんよ、俳優さんのアプローチも色んなこと試せると思う。

最初の設定ではただのトリックスターでしかなかった人。そこからお話が紡がれ、そして死ぬ瞬間まで自分の仕事を果たした人。
異論あると思うけど、私昔から言い続けてるんよね、TRUMPシリーズにおいて一番人生を全うした人は、臥萬里だって。
初代も、2代目もね。

* 私の繭星初日6/1のティーチャークラウスは「あんたもっと可愛い感じやったやん!?どしたんやそんな変態になって!!!」というくらい怖かった。変態教師だった。
フォロワーさんとも話したんだけど、TRUMPの時よりはるかに狂気が増していた。

だってあんた、ハッキリとソフィを見て「アレン」って呼んでたぞ…ティーチャークラウスってわりと、目の前の虫の息のソフィではなく、虚空を見つめて「アレン」って言ってたやん。
ばっちりソフィの顔見てアレンって呼んでたな…顔はルルミナそっくりなのにね…

今回の追加シーンでダリちゃんと会ってて、ブラド機関に監視されてる事自覚しながら、それでもソフィへの執着をやめんかったし、ダリちゃんに「ソフィをファルスにする」という意思をハッキリ伝えちゃってたし。
…私はクラウスが一番好きなんだけどね、なんだけど…

今回はほんま、なんちゅー迷惑な奴や、と。あんたのせいでデリコ家めちゃくちゃよ。
でも、開き直れてよかったねぇクラウス。アレンを失って100年という地獄を過した後の救済、それがソフィ。
100年地獄見たんだからいいでしょ、ずっと孤独だったんだから、ワガママ言わせてよ!
自分にだって星をちょうだいよ!そういう「キレてしまった」クラウス。
良かったね…あなたは今まで、なんだかんだ正気だったから苦しかったんだもんね…

でもね、今回も、ソフィは、アレンみたいにあなたを見ていないね…
だから無理矢理、振り向かせたんだね…

だって恨んでくれたら、ずっとずっとクラウスのこと、憎しみの篭もった目で見てくれるもんね、視界に入れるもんね…
アレンの世界に居られなかったこと、本当に辛かったね…

でも、でもね…放ったらかしにしないでよ…責任取ってあげなさいよ…
友達になりたかったのに、隣にいないんじゃ、あんた…
そりゃあんな力尽くで星を手に入れちゃったから、好きになってもらえないのは当然だけど、一方的な愛をぶつけるだけぶつけて、満足しないでよ…

噛み逃げかい…当て逃げならぬ、噛み逃げ…

大千秋楽のクラウスは、わりと私の知ってるドン臭くて可愛いクラウスだったな。
でも「永遠の命を望め!!」のところは、完全に正気を失っちゃってたな…
星を手に入れたところ、TRUMPの時から笑ってはいたけど、COCOONでの笑顔は…なんか、そのままキスしそうな程の…気持ち悪さだったな…

クラウスってさー、ずっと1人でいなきゃいけなかったから、友達ってどう作るのか、どうなればいいのか全然わかってないんよね。
だからソフィの隣に居ようとしないんよね。どうすればいいか分からないから。
この世界の片隅にソフィが生きてくれている❤幸せ❤って…あーーほんまこの人は…
本当、どうしようもなく愛おしい…早くクラウスの過去が知りたいなぁ…

ぼんやりした先生であるのも本当のクラウスで、残酷で気まぐれな神なのも本当のクラウスなんよな。
そういう所も、やっぱり、薄ら寒くて、そして一番大好きなキャラクターだな…

一番許せない奴でもあるけどね…