エメラルドグリーンの肌

ハロプロとか芝居とか漫画とかが好き。小説が書きたい。

この感情を愛と呼ぼう~今更ユーリ!!!on ICEを見た~

恥ずかしながら2年遅れの今、 2016年冬アニメの覇権を征したという「ユーリ!!!on ICE」を、dアニメストアで全話見た。

結果、この作品が好きすぎて好きすぎて、 急に胸が苦しくなって突発的に涙が出てくるくらいには、 夢中も夢中も夢中になってしまった…

なんでこんなに夢中になっちゃう、素晴らしいアニメを見るのに2年も要したかと言うと、 ネットでの賛否両論ぶりとか諸々の疑惑とか、 とにかく話題が出たらその界隈が荒れまくる、その実情に恐れ慄いたから。

しかし私の尊敬するクリエイターさんたちは軒並み大絶賛していた。 でも結局「気にはなるけど、なんか荒れてて怖いから近寄らんとこ…」 と、ビビって遠巻きに眺めるだけ。 いつか気が向いたら、レンタルかなんかで見よう… そんくらいの気持ちだった。

そして見るきっかけもそんくらいの気持ち。 有料会員登録してるアニメ配信サービスで配信してたから、試しに特集ページに飛んだら自動的に第1話が再生され… そしてものの1分で「このアニメは面白い!絶対に面白い!!!」と確信してしまった。

とにかく熱量がすごい…制作陣の熱量が凄まじい。

OPなにこれ?!?!この筆みたいな主線で、スケートして動画になってる!?!?! は?!?!劇場版かよ!?!?!

っていうか本編のスケートシーンまでCGじゃねぇの!?!? いわゆるロトスコープかな…? 手で描いてんの?!?!これを!?!?!? こんなん毎週やってたんか!?!? 正気かっ!?!?!!?!?

とにかくハイクオリティが次から次に私の脳を殴る!殴る!殴る!!

圧倒的テンポの良さアニメファンのストーリー推測を小気味よく裏切り、一気に物語に引き込んでいく手腕、 そして何より、青春スポーツアニメとは一線を駕す、プロアスリートの熾烈な世界を描いたアニメだと示すキャラクター描写。

こんなにすごいアニメなら、そら覇権とるわ!っていうか 私は2年もこの名作をほったらかしてたんか…!? …自分の名作アンテナの低さに心底呆れてしまった。

休日だったのをいいことに、取り憑かれたようにひたすら連続再生。 勇利とヴィクトルの関係性が丁寧に描かれていくその過程に、ただただ心を奪われていく。 腐女子人気を意図している"どころ"ではない、 露骨に「この2人の間には性愛すらも生まれかねない、あまりにも深い結び付きがある」と示していく、その逃げない姿勢。

「私たちは絶対に、逃げることなく、性別も年齢も国境も越えて、才能に魅了され互いを求め合う魂を描ききってやる!!!! 美しいと思うものを美しいと思うままに描く!!!!! 私たちが真実の愛だと言いきれるものを、描ききってやるッッッッ!!!!!!」 と、咆哮のようなそのストレートな描き方に、 私は「よくやってくれた・゜・(ノД`)・゜・」とにくれたのである(半分本当)

なんかもう、執念

徹頭徹尾、制作陣が信じる「」を見せつける、そういう気概…

この道約20年の中年腐女子でありながら、 いやむしろ古代人レベルの腐女子だからこそ抱えている 「男性の同性愛を匂わせる作品を、多様な人の目に触れる民放で放送することは、好ましくない」 そういう負い目。 そんなチンケなもんを未だに持つ自分が、物凄く恥ずかしくなった。

ちょっと話は飛びますが、最近のアメコミ界隈では「キャラクター達は至極当たり前にヘテロセクシャルであるべきだ」って考え方自体が、差別的だって方針になってるそうですね。

もう、めちゃくちゃ腑に落ちたね。 現実世界では多様性を謳ってる、それはフィクションの世界でも同じなはずなのに、 じゃあなんで当たり前のようにセクシャルマイノリティも障害者も出てこねえんだよって言う…

YOIで描かれる多様なの形って、この考え方に近くない? 「アメコミ界隈だけじゃなく、日本のアニメも新しい時代に突入したんだな」と思ったね。

でも、この作品がいろんな人に届いた一番の理由は「才能に魅了される」っていうのがどういうことが、とにかくストレートに描いたからだと思うんだよね…

例えば、のだめカンタービレがなぜあそこまでヒットしたか? それはやっぱり、男女の性愛の世界も飛び越えて才能の虜にされてしまう魂の愛を、 クラシックの美しい旋律にのせて、あんなにポップに楽しくわかりやすく描いたからだ。

アマデウスという映画/ミュージカル作品があんなに素晴らしいのは、裕福な家に生まれ、世間知らずで品性下劣なモーツァルトをどうしても許せない、 でも、その神に愛された才能には恋焦がれてしまうサリエリの苦悩が、もはや恋愛に等しいほど激しく狂おしく描かれるからだ。

YOIも才能に恋してしまうと、年齢も性別も関係なくめちゃくちゃに狂ってしまう、それを真っ向から描いたから、これだけ多くの人に愛され、 そして多くの人からの反感も買ったのだ…

才能にホレる感覚に、ピンとくる人もいれば、全然わかんない人もいるもんね。

ヴィクトル勇利、二人の間に生まれるクソデカ激エモ感情を「恋愛」とも取れてしまう、デリケートな表現すら厭わず描いた、製作陣に…

五体投地…全力地面埋込型土下座………ッッッッ

もう10話の特別ED、そしてその後のCパート(でいいのかな?予告前だけど)で、 ほんまストレートに「(フィギュアスケーターにとっての)神様が人間(の才能)に恋に落ちる瞬間」を描いてきよって、 創作物にありがちな「何故か都合よく超人が凡人を見いだし、凡人を全肯定して愛す」ご都合主義ではなく、

凡人ではない、特別強化選手である勝生勇利が、力尽くでリビング・レジェンド ヴィクトル・ニキフォロフの心を奪った、ちゃんと「起こるべくして起こった自体」であると示したのが…

ほんまに、ほんまに… 涙が出て…頭が真っ白になって… 10話本編の「結婚おめでとう!」事件なんてメじゃない、とんでもない核弾頭で…

私、ほんま狂ったように10話のEDばっかり繰り返して見てる。 過呼吸になりそうなほど胸が苦しくなって、鼻の奥が痛んで目がどんどん潤んでしまう…

こんなにすごいものの存在を、私は2年も知らなかったのか… もっと早く出会えていれば、私はきっとすごく幸せだったのに…

いやでもやっと出逢えた今も、本当に本当に本当に幸せなので、巡り会う前の2年間も決して無駄ではない。 いろんな論争が起きて好きであればあるほど疲労も大きかったであろう当時よりも、 落ち着いて作品を楽しめる今こそ、私的にタイミング良かったのかもしれない。

なんかもう取り留めもなく、書き連ねてしまった。 他にも言いたいこと山ほどある、等身大の生意気な15歳だけどその本質は驚くほどピュアなユリオの、一瞬しかない今だからこその美しさや、 勇利にもヴィクトルにも現役続行を決意させた絶対的な神に近い才能だとか、

ネタキャラかと思いきや、ファイナルグランプリのプレッシャーの恐ろしさを嫌という程見せつける役目だったJJとか、

勇利と同じく神様に魅了され、その背中にピタリとくっつくかのように追い続けていたのに、結局ヴィクトルに見出されることも、隣に立つことも叶わなかった年長者のクリスとか(ヴィクトル選手復帰したから、これから立てるかもしれないけど)

小さい頃の勇利の1番近くにいたけど、夢ではなく現実という幸せを選んだ西郡一家とか、 もっともっと色んなこと書きたい、それほどこの作品が抱えてるものは膨大。

でもやっぱり、勇利とヴィクトルの関係性があまりにも凄すぎて凄すぎて凄すぎて凄すぎて… 逃げずに「これは愛だ」と言い切った制作陣の姿勢があまりにかっこよくて…

こんなに魂を揺さぶってくれる作品に出会えて、 私は本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当の本当に、 幸せだなぁ… 生きてて良かったなぁ…